「ハート君」は、2-3ヶ月齢の子猫さんです。
箕面で猫の保護活動、TNR活動をされている「みのお地域ネコの会」で保護され、
漏斗胸との診断を受けていました。
漏斗胸は、胸骨と肋骨が変形する先天性の病気。
指で触ってもわかるくらいに、胸骨が陥没し、肺や心臓を圧迫することで、呼吸困難などの症状が出ます。
ハート君も呼吸が苦しそうとのことで、酸素ケージをレンタルして入ってもらっていました。
酸素室に入っている様子。左上の白黒の子猫さんがハート君です。
なぜハート君と呼んでいるかと言えば、毛並みがきれいなハート模様だから。
もうこのハート模様に、そして性格もとてもよく可愛らしく、
関係者一同メロメロです。
ハート君のことは、今回縁あって当院に相談され、
凹んでいる胸骨を引っ張って固定する手術を行いました。
下の写真が術後、経過観察中のものです。
体の下に板のようなものがあるのがわかります。
その板に糸を通し、内側に入り込んでいる胸骨に引っ掛けて、引っ張っています。
このまま骨が固まるのを待つ算段です。
今のところ、本人は処置後調子よく、酸素ケージからも出て元気にしています。
体重もぐんぐん増えており、いいことなのですが、
上の写真にも写っているのですが、まだ胸骨の変形が残っています。
これ以上は心臓に近いため、糸を引っ掛けることができず、今のところは
無処置で経過観察しています。
今後成長するに従い、もし呼吸困難などが出てくるようなら、
また別の方法を考える必要があり、気は抜けないのですが、
今のところは元気に成長している姿を見守っている状況です。
また経過報告させていただこうと思っています。
ハート君は、「名は体を表す」ではないけれど
みのお地域ネコの会に保護され、募金活動などで治療費も捻出してもらい
たくさんのハートに恵まれた、本当に強運な子猫さんだと思います。
この強運を持ったまま、幸せになってほしいと思いますし、
他のノラ猫さん、外にいる子猫さんたちも、
少しでも不幸な子が減っていくよう、お祈りしています。
獣医師 緒方
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