エキゾチック動物の診療に興味があり、少しずつ勉強を続けています。エキゾチック動物は、大まかには犬、猫を除いた小動物のことですが、一口にエキゾチックといってもかなりの幅があって、勉強すればするだけ、なんて奥の深い世界なんだろう…!と驚かずにはいられません。

エキゾチックの勉強はまず分類と食性、本来住んでいる気候などを頭に入れることから始まるので、生物学的要素が多々あります。哺乳類のうち草食のウサギ、モルモット、チンチラ、肉食のフェレット、雑食のハムスター。ハリネズミは昆虫を好み、フクロモモンガは果物を好む…など。そして哺乳類の枠を飛び出して、鳥類、爬虫類、両生類、魚類と、行く先はとどまるところを知りません。

エキゾチック動物の診療は、セミナーに行ったり、症例の豊富な病院に見学に行ったりして勉強させてもらうのですが、まだまだ発展途上な分野でもあり、見学先の病院の先生方は皆様、道具や診察方法など、工夫を凝らしてエキゾチックの診察をされています。そのように自分で考え、工夫して発展させていくという部分が、また面白さのひとつだと感じています。

エキゾチック動物の勉強や、実際の診察を重ねるうえで、最近感じるようになってきたことが、「ペットとのちょうどいい距離感は、ひとりひとり違う」ということです。
こうやって文章にしてしまうと、ものすごく当たり前のことなのですが、幅広い動物種のことを考えるうちに、動物種によって飼い主とのちょうどいい距離はそれぞれ全く違う、ということが実感として感じられるようになってきました。

犬と猫は比較的飼い主との距離が近く、スキンシップを好むので、よく構ってあげ、触ってあげることで、彼らも満足し、快適に暮らしてくれます。一方で、例えばウサギはスキンシップもさることながら、そのウサギにとって快適な場所を作ってあげ、空間を共有することが、飼い主との絆になる、といった部分があります。
鳥類も(種類や雌雄、手乗りかどうかで大きく変わってはきますが)、快適な生活空間を作ることと、適度なスキンシップのバランスよい配置が重要でしょう。カメやトカゲなどの爬虫類などでは、スキンシップよりもさらに「環境を整え、生活を鑑賞して楽しむ」側面が増えます。

こういった、ペットとの距離は、やはりその動物の食性や生活をよく理解し、そのペットにとって快適な、心地よい空間を作り出すことによって定まり、そのペットが満足げに、幸せそうに暮らしているのを見て感じることが、私たち飼い主にとっても癒しにつながっていくのだと思います。

そしてその空間の中で、ペットはそれぞれ、強烈な個性を発揮します。一人を好み殆どスキンシップをとってくれない猫もいれば、飼い主さん大好きでべったりのウサギもいるでしょう。その個性を楽しみ、愛することが、ペットを飼う醍醐味なのだろうなと思います。

ペットのための快適な空間、と一口に言っても、実際にそれを作るのはとても難しいと思います。ペットは喋ってくれないし、これがいいあれがいいと希望を述べたりしてくれません。食べ物から始まり、寝る場所、トイレ、生活空間の温度や湿度。そういったものがうまく機能せずに体調を崩してしまう場合も多々あり、体調維持のための、環境作りのお手伝いをすることも、動物医療の一環だと思いますし、そういうことも含めて、日々勉強なんだなと感じています。

獣医師 緒方

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