9月からペットホテルを始めました。
音の制限があるため、残念ながら現時点では犬の預かりは難しく、
猫と小動物がメインのホテルです。
8月半ばからずっと準備してきて、環境を整えているんですが、
こういう、自宅以外の場所で、そしてさらにケージ内で暮らすための環境を整える、というのが
思っていたよりずっと大変です。

私の自宅には3匹の猫がいますが、彼らは毎日、自分で好きに移動して、快適な場所を探して過ごしています。
ペットホテルはそうではなく、環境には制限があり、
その制限のなかで、快適を追求しなければならない……!
と、いうのが、ものいわぬ彼らなので、本当に難しいな……!
と思う毎日です。

さて、先日、オープンはしていたものの、まだ準備の途中でもあった
ペットホテルに、初めての客が見えられたのですが、
懇意にしていただいている保護団体さんが保護された、
飼育崩壊現場からの猫たちでした。

健康状態のチェックや、様々な検査、ワクチン接種なども行うので、
特にはじめは、入院的な側面もありましたが、
幸い、ひどく体調を崩している猫はおらず、
保護団体のほうで受け入れ態勢が整うまでのホテル預かりとなります。

猫ちゃんたちが入ってくれたことで、
ホテル預かりで必要な細かい道具や、スタッフの動線、管理方法の確認まで、
まだまだ手探りだったペットホテルの管理に、たくさんのアドバイスを得ることができて
本当に有難かったです。
(入ってくる段階で完成していなかったのは、本当にごめんなさい、と思いました……)

必要なものを慌てて買い揃え、何とか、猫ちゃんたちにも不便のない生活を送ってもらえたと思います。
得られた気づきは、いろいろありましたが、
猫に準備していたスペースが、実際必要な広さより大きかったとか、
(最初数日、環境に慣れるまでは、狭くて落ち着く場所のほうがいいみたい)
2段ケージを準備してみたけど、1段のほうがいい猫もいるとか、その逆もしかりとか。
季節は幸い、暖房も冷房も要らない快適な時期でしたが、
また今後は、温度管理に関してもいろいろ追求していくことになるんだろうと思います。

そして、ホテルに関してもそうでしたが
飼育崩壊という状況に関しても、いくつか感じさせるものがありました。

事情を聞くと、いわゆる「多頭飼育崩壊」ではないようでした。
多頭飼育崩壊は、猫の数が増えすぎて、飼いきれなくなる状態ですが、
猫の数はコントロールされており、
可愛がられていたけれど、事情があり、飼い主さんが世話できない状態になってしまったとのこと。。

それで、数週間放置状態にあった猫ちゃんたちでしたが、
幸いにして保護され、全員が体調を大きく崩すことなく救い出されたのは、本当に奇跡だと思います。
本当によかった、幸運の連続、こんなこともあるんだな……!と思いました。

病院に猫たちが連れてこられて、最初に思ったことは「元気だな」ということ。
怖がって縮こまっている猫ちゃんもいましたが、半数以上は、よく鳴いてアピールをし、
スタッフが話しかけると、撫でてもらおうと顔を出し、体を足にすりすりしてくれます。
食事を出すと、すぐに勢いよく食べて、初めてのトイレも躊躇なく使います。
数週間の放置も、このタフさで潜り抜けてきたんだろうな、と思わされました。

しかし、
翌日の夜くらいからでしょうか。目に見えて雰囲気が変わってきたのは。
スタッフの顔を見るや鳴いていた猫ちゃんは、じっと奥で丸まって寝るようになり、
トイレの陰に隠れる子、奥で猫同士くっつく子たち。
食事だけは気が狂ったように食べる子もいて、制限しないと吐いてしまうほどでした。
撫でようと手を伸ばすと、静かに体を預けてはくれますが、その表情は動かず、変わりません。
最初の勢いよくぶつかってくる感じはなんだったの……!?と、あまりの豹変ぶりにひどく驚きました。

食欲はあり、体調が悪くなったわけでもなく、
そのまま1日ほど観察を続けて、思い至りました。
ここでは、世話してくれる人がいて、食事や生活の心配がないことを覚ったのだ、と。
それまで、生き延びるために必死で、気を張ってアピールしていたんだろうな、と実感した瞬間、胸がつまって
本当に良かった、と思った反面、
こんな悲しいことはもう起きてほしくないのにな…、と、思いました。

飼育崩壊、多頭飼育崩壊、ときくと
どうしても、飼育状況とか、当事者たちの健康状態とか
そんなことばかり考えてしまっていたのですけど、
実際、現場に直面すると、もっと根本的な、現実的なというか、
猫たちはどんな毎日を送ってきたのだろう、つらかっただろうな……という
そんな問いかけを、その表情から、拾い上げずにはいられません。
そりゃ当たり前だよね、突然放り出されちゃったら、メンタルやられるよね……。
誰だって、人でも猫でも、当たり前のことだわ。

この子たちの残った生涯、新しい飼い主から
たくさんの愛情を注いでもらえることを、切に祈ります。

その子たちのお世話をしばらくさせてもらううち、
少しずつ、ここが次の家なのかな、と思い始めてくれたらしく、
心を開いてくれるようすが、それはもう愛しい……!と思い始めたあたりで
ホテルは終了となりました。
ペットホテルあるあるなのかもしれないですね。
ああかわいい……!と思っていると、すぐ別れがやってくる、
けど、別れてペットが帰っていく先は、大好きなお家なので、それが一番嬉しいことなんですよ。
これから、たくさんそういう出会いと別れを繰り返すことができるのも、ホテルの醍醐味かもな、と思いました。

許可をいただいたので、ホテル中の写真を数枚。
長毛の子が多く、毛玉がひどかったので、ホテル中に刈りました。

最後は宣伝になりますが、
猫ちゃんと小動物さんの預かり先を探されている方がいらっしゃいましたら、
ぜひ検討いただければと思います。お待ちしております。

緒方

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