4/8に発令された緊急事態宣言が、大阪では5/21に解除されました。
 おがたま動物病院では、診療時間を午前中のみ(午後は電話対応)としていましたが、6/1から、従来通りの午前・午後に戻すことに致します。

 解除した次の日、5/22にいつもの出勤路を通りましたが、やはり人も車も増えているな、という印象を受けました。
 ただ、動物病院での患者様の動きとしては、今のところ大きな変化はないように思います。

 4/8から、緊急事態宣言を受けて、待合の人数を増やさないように、患者様同士の接触を減らすように、と色々対策してきましたが、
 最初はみんな手探りで、右往左往しつつだったのが、少しずつこの状況に慣れて、スタッフ側も患者様側も、三密を減らすためにどう動けば効果的なのかもわかってきて、
 何というか、やっぱり適応力がすごいなあ…!
 と、実感しています。

 自分にできることはないかいろいろ模索して、消毒薬を少量ですが配ったり、家族が作ってくれた布マスクを販売したりしました。患者様からも、マスクを頂いたり消毒液を頂いたり、それ以外にも様々お気持ちをいただきました。
 外で待ってもらうことも多々あったし、午後診察をしていないのでご迷惑をおかけしたり、不便な中、皆様には大変ご協力いただきまして、本当に感謝しています。ありがとうございました。

 さて、6/1から、診察時間は元に戻るわけですが、でももちろん、全てが「コロナ前」に戻るわけではない、というのは、もうニュース等でも散々言われていることです。私もそうだと思っています。
「コロナ前に戻してはいけない部分がある」というほうが、正確な表現でしょうか。
 動物病院について、コロナ前とコロナ後で何が変わるのか、何が変わらないのか、……細かい部分をあげればいろいろあるのかもしれないのですが、一番はやはり「今後は、待合室に患者様がたくさん居る状況は避ける」ということかな、と考えています。

 以前は、動物病院の待合に患者様がたくさん居て、外にも溢れていて、という光景は、珍しくありませんでした。
 待合にたくさん人がいることが、その動物病院が「繁盛している」というステータスになる、と考えておられる先生も、恐らくいらっしゃったと思います。はっきりと聞いたことはありませんが。 

 飲食業界では「並んでいる店は繁盛している、美味い」「ガラガラの店は流行っていない、不味い」という考え方があるようで、私もまあ、それはそうかな、くらいに思っていたんですけど、
 以前テレビで、レストランのプロデュースをする番組があったんですが、「行列が看板」と言って、わざと行列をつくるために座席数を削ったシーンを見て、ものすごく衝撃を受けました。
 もしかして、飲食店の行列はわざと作られているの!?
 ……いや、致し方ない行列ももちろんあるでしょうけれど、少なくとも私が見た番組では、行列をわざと作ろうとしていたんですよね。
 そういう考え方があるのか!?と、初めて思い至って、……もしかして、動物病院でも、そういう「待っている人の多さが繁盛のステータスなので、あえて混んだ待合を作る」という考え方があるのか?と、思い始めた(疑い始めた)のも、それからのことです。

 さすがに、あからさまに混んだ待合を作る病院はないと思うけど、「待つ」ということ、「待合が混む」ということに無頓着な部分は、確かにあったように思います。「動物病院で待つのは当たり前」みたいな、そういう考え方ってよくないんじゃないかなーと個人的には思うんですけどね。

 やっぱり、待ち時間は少ないほうがよくない??って思うんですよね。
 私は自分自身、行列したり待ったりするのは嫌だし極力避けたいし、自分の病院を始めるときに、待合で待たれるのはできるだけ回避したいと思いました。
 動物たちはもちろん、飼い主さんも待ち時間が嫌だろうし、自分もプレッシャーを受けて、早くしなければ!!と焦ってしまうからです。
 なので予約制にして、待合にできるだけ人がいないようにしてきたので、必然、待合はガラガラの時間が多くなるわけで、
 それで「あーあそこは繁盛してないわ」と思われるだろうけど、もう別にそれでいいや、と思っていました。

 しかし!
 新型コロナウイルス以降、待合が混む状態は避けた方が良い、という状況になり始めました。
 待合はガラガラに越したことはないんです。
 やった、とうとう自分の感覚に時代が追い付いてきた、……というのは言い過ぎかもですけど、待合の人数を減らすべく努力する、という時代が来たことは純粋に嬉しいです。

 アフターコロナの時代は、不便なことも多いかもしれないですが、今まであまり考えてこなかった事柄、よく考えたらこれおかしくない?改善できるんじゃない?という部分も、あぶりだされているように思います。
 私たちに求められているのは、そういう急激な変化への適応なんじゃないか。そう思います。

 新型コロナウイルスという苦難、それを乗り越えるための、発想の転換と変化。それは往々にして鮮やかで、しなやかです。
 私はこの2か月弱、動物病院での診療を通して、皆様のそういうしなやかな変化をたくさん見せてもらったし、自分もそうあるべきだと強く思いました。
 これからも、変わるべきところは変えて、そのままでいいところはそのままで、変化しながら、少しずつ前進していきたいと思っています。

 この1か月半、新型コロナウイルスに感染せず過ごせた皆様に、安堵と喜びを感じるとともに、
 感染を受けた皆様には、少しでも早い回復をお祈りしています。
 そして最後に、日々努力してくださっている医療従事者の皆様に深い感謝の意を表します。本当にありがとうございます。

 獣医師 緒方

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